個人再生の実例
ここでは、実際に当事務所で解決した個人再生の事例をご紹介します。
【Hさん(41歳・男性)のケース】
「相談前状況」
Hさんは、もともと会社員で収入が安定しており、借金などしたことがありませんでした。ところが、飲食店のオーナーである知人から同店の店長をやらないかと請われ、渋々引き受けた頃から状況が暗転しました。売り上げが思うように伸びず、満足のゆく給与が支払われなかったことから、生活費を貸金業者からの借り入れに依存するようになりました。
その後転職を経て、相当額の給与を得るようになりましたが、結婚と妻の出産により生活費の支出が増えたことから、返済が苦しくなりました。
「解決方法」
Hさんが借金をするに至った理由や債務総額から、自己破産が最も適当に思われました。しかしながら、Hさんは、債権者へ(全額は無理でも)少しでも返済していきたいとの思いが強く、自己破産することを潔しとしませんでした(仮にHさんが自己破産したとしても、特段デメリットはなく、それをキチンとご説明した上での判断でした)。
それならばと、Hさんの希望に叶うよう個人再生を検討しましたが、Hさんの家計の状況では再生手続きにより債務を圧縮しても、返済を継続していくことができるかどうか微妙な状態でした。
そこで、Hさん(及びその奥様)とともに徹底的に家計を見直し、返済原資を確保できるよう努めました。
「解決後状況」
Hさんは、大幅な見直しの結果、裁判所が再生手続きによる弁済が可能であると認めるに足る家計の状況になり、無事認可決定を得ました。
【Aさん(46歳・男性)のケース(住宅ローン特則あり)】
「相談前状況」
Aさんは、3人目の子供が生まれ、将来に向け自宅が手狭になることが予想されたため、その改築費用として銀行から借入れをしました。借入れ当初、とくに生活は苦しくありませんでしたが、子供が私立の高校、そして大学、専門学校へ進学し、3人分の学費が家計に重くのしかかるようになりました。
そこで、新たに教育ローンや、不足する生活費を補うために貸金業者から借り入れるようになり、気付いた時には住宅ローン以外の借り入れが約900万円に膨れ上がっていました。
「解決方法」
当然のことながら自宅を手放したくないのがAさんの希望でした。
ところが、Aさんの場合、住宅ローン残高が約800万円なのに対して、自宅不動産の査定価格が約1050万円であったため、所謂オーバーローン状態ではありませんでした(1050万円-800万円=約250万円の財産価値)。
他にも目ぼしい財産として保険の解約返戻金があったため、Aさんの財産価値の合計は約280万円となり、(これが住宅ローン以外の債務総額の900万円の5分の1相当額である180万円を超えるため)その額を支払うとする内容の再生計画案を認めてもらわなくてはなりませんでした。
「解決後状況」
再生計画は3年の分割返済が原則なので、返済総額が約280万円の場合、月々の返済額が7万円を超え、返済を継続していくのが困難でした。そこで、「やむを得ない事情」により、返済期間を5年に延長し、月々の返済額を4万円程度にまで抑えることで、計画案どおり履行が可能と認められました。
結果、Aさんは自宅を手放さずに済みました。